コレクション: 瀬野大輔(Daisuke Seno)【京都/書家】

瀬野氏は書家であった祖母の影響で、1歳のころから書道の筆で線を描くようになりました。書道は、筆と墨を用いて美しい文字や構図を追求し、書き手の心や感情を表現するアートで、中国から日本に伝来した文化です。
瀬野氏は2000年の歴史がある日本書道において培われた完成された文字の造形的な美しさを大切にしながら、紙と墨だけの表現に固執せず、画材・モルタル・樹脂といった書道に用いられていない素材を積極的に取り入れながら独自性の高い作品を制作されています。 

書道の本質は、描かれる線の確かさとともに、意図的に生み出される「余白」の美にあると瀬野氏は語ります。この「余白」は単なる空白ではなく、線と線の間に存在する何もない空間に静けさや調和が宿るものとして捉えられています。さらに、その余白は鑑賞者に思索を促し、無限の可能性を感じさせる場ともなります。書道において、余白をいかに豊かに表現するかは、書道の醍醐味(だいごみ)であり、その魅力を形づくる重要な要素です。

瀬野氏は、近年、書道を世界中の人々に身近なものとして広める活動に取り組み、様々なアーティストや業界とのコラボレーション、ワークショップ、講演会、展覧会など、活動の幅を広げています。