コレクション: 佐々木虚室 (Kyoshitu Sasaki)【京都/楽焼】

4代目佐々木虚室(Kyoshitu Sasaki)氏は、初代が1905年に窯を開いて以来、約120年間、楽焼(RakuYaki)の伝統を現代までつないできました。

楽焼(RakuYaki)とは、日本の茶道文化をつくりあげた人物の一人である千利休(Sennorikyu)の理想から生み出された抹茶碗です。

千利休(Sennorikyu)は、日本の桃山時代(The Azuchi-Momoyama period)から戦国時代(The Sengoku period)に活躍した茶人です。千利休(Sennorikyu)がつくり上げた茶の湯「わび茶(Wabicha)」の精神は、質素な中に、削ぎ落とされた美しさを見出し、心の満足を実感するという精神性を重要視したものであり、現代の茶道や禅の精神に通じています。

楽焼(RakuYaki)は、この削ぎ落された美しさ、不完全な美しさを表現した器です。特徴的な作り方の一つとして、ろくろを用いず、職人の手だけで土を茶碗の形にし、ヘラを用いて無駄な土を削り取っていきます。

佐々木(Sasaki)氏はこの土を削り取る工程で、最後のひと削りをする寸前で作業を止めるようにしています。それは、最後の仕上げをあえて控えることで、作品に自分の意図をできるだけ反映させないようにするためです。これにより、使う人が、茶碗に対して自由な発想をもつことができ、その人らしいおもてなしができます。完全でないからこそ、どこを「正面」として見せるかも含め、使う人の自由度が広がり、お茶の時間を通じて豊かなコミュニケーションが育まれます。

千利休(Sennorikyu)が唱えた茶の湯の基本は、「おもてなしの精神」にあります。それを現代に伝える楽焼(RakuYaki)を守ってきた4代目佐々木虚室(Kyoshitu Sasaki) 氏は、約百年の歴史と伝統に、新たな技法を取り入れることで、「未来の抹茶碗のデザイン」を模索し、後世に伝えていきたいと考え、フランスをはじめとした海外の国々においても積極的にワークショップの活動を行っています。