自ら手に入れた材料から生み出す現代の「用の美」 #健太郎窯 村山健太郎さん

シンプルな形状に土の個性が浮かび上がる、独特の存在感を放つ器づくりが魅力の健太郎窯の村山健太郎さんにお話を伺いました。
 


【1】工芸の道を志したきっかけやご自身の背景、工房の歴史や成り立ちについて

自ら手に入れた材料から生み出す現代の「用の美」 #健太郎窯 村山健太郎さん


佐賀県唐津市にある唐津焼の窯元の健太郎窯は、唐津のシンボルである鏡山の山道を行った中腹にあり、工房からは虹の松原と唐津湾を一望することができます。
唐津市に生まれた村山さんは、有田窯業大学校を卒業し、川上清美氏に師事した後に独立し開窯しました。
 
風土との繋がりを大切に作陶しているという村山さんは、自らの手で石を掘り、それをハンマーで砕いて粘土を作り、それから焼き物を作るといいます。さらに陶器の表面に塗る釉薬は、冬の間に薪ストーブで燃やした薪の灰から手作りしています。作陶の材料から器づくりまでをすべて自分の手で行っているのです。今では手掘りし粘土作りから行っている窯元は、全国でも数少なくなっているそうです。
 
「できるだけこの地でしかできないことをしたい」と語る村山さんは、土が採れるまさにその場所で、土が持つ素朴な質感を引き出し、余分な装飾がなくともどこかぬくもりを感じる器を作り続けています。
 
 
 
【2】作品制作で大切にしていることやこだわり、作品を通じて伝えたいことや叶えたいこと

自ら手に入れた材料から生み出す現代の「用の美」 #健太郎窯 村山健太郎さん

村山さんは、古唐津の伝統技術をベースにしながら、土や釉薬に関して研究を重ね、独自の素材感を生み出したいと日々模索しています。器づくりの原料はすべて自然から手に入れるので、作陶は、肥前の山を歩いて土を掘るところから始まり、自分で採取した土や石、鉄などの原料から粘土と釉薬を作ります。
 
「それぞれの土に適した精製方法を見定め、窯に入れる焼成温度も細かく見極める必要があるので、手間がかかり非効率的です。しかし、素材から作り出し土が持つ魅力と対峙する度に、古の技術に隠された“ものの秘密”に触れることができます。原料の様子を観察し、できるだけ土のペースに合わせて面倒を見ていくことが、私の仕事です」
 
村山さんのものづくりは「日常に溶け込む素直な器」であることを大切にし、所有者が飽きずに使い続けられるよう、形状は極力シンプルにしています。
 
「焼き物において、日本ではアートとプロダクトの境界が曖昧ですが、唐津焼は必ずプロダクトでなくてはいけないと思っています。たとえ美術品として取り上げられようと、作り手の意識は工芸であり、使われる道具でなくてはならないのです」
 
日常の器として長く愛されてきた古唐津をそのまま写すのではなく、今の時代を共にする料理人の価値観や食文化に寄り添う『現代の用の美』を探求しているのだといいます。
 


【3】伝統技術や文化の継承のために挑戦していることやこれから挑戦したいこと
村山さんは、縦軸を伝統、横軸を工芸として分けて考えたとき「過去から受け取り未来につなげていく、縦の伝統がものづくりの軸である」と語ります。
 
「過去の技術であっても、しっかり考えて実践すれば現在でも通用することを証明したいのです。一方で横軸の工芸は、現在生きている人たちと感覚を共有することがなければ、使ってもらうことができません。だからこちらも同じく大切なこと。縦の伝統と横の工芸、このバランスをよく揃えていかなくてはなりません」
 
現代から未来へと使い続けられる美しい道具たちは、土を掘り、薪の火やろくろに向き合う村山さんの手から日々生み出されていきます。
 
 

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