シンプルな波佐見焼の枠にはまらない、個性的な風合いを持つ器づくりをしている藍染窯にお話しを伺いました。
【1】工芸の道を志したきっかけやご自身の背景、工房の歴史や成り立ちについて
長崎県の波佐見町にある藍染窯は、普段使いの食器としてなじみのある波佐見焼を通じて『すべての人の衣食住を豊かにする=Good Life』をモットーに、細部まで作り手のこだわりを詰め込んだ独自の陶器を生み出しています。
波佐見焼づくりは、多数の会社が分業制で作るしくみで、藍染窯のような窯元は、本来絵付けや器を焼く作業が主だといいます。
「注文を受けたものをただブレずに生産するのではなく、自分たちが本当に作りたいものを形にし、1つ1つ思いを込めた器を届けたいと考え、独自の商品開発をはじめました。器で人とつながり、今よりもっと豊かで笑顔になれる生活を提案していきたいと思っています」
職人たちの思いが詰まった藍染窯の器を手にすれば、食卓に笑顔が生まれるような新しい体験をもたらしてくれそうです。
【2】自らの五感を刺激するために取り組んでいることや意識していること
藍染窯のものづくりの根底にあるのは、全国で出会う人々の存在だといいます。
「出張先や旅先でいった街を歩き、その土地の文化や人、モノを沢山見て回ることは刺激になります。自分たちならこの土地の人たちをどうやったら喜ばせることができるかを常に考えています。その土地を理解し、文化を理解し、人と触れ合うこと。これが日頃のものづくりのヒントになっていると思います」
人に思いを寄せて生まれた器だからこそ、作り手と使い手が同じように楽しみ、喜びを感じることができるのかもしれません。
【3】作品制作で大切にしていることやこだわり、作品を通じて伝えたいことや叶えたいこと
波佐見焼といえばシンプルな北欧デザインが人気ですが、藍染窯の器はその枠にとらわれない、独特の風合いを持つ個性的なシリーズが幅広く揃っています。
「器づくりの素材にこだわり、陶器と釉薬の相性を突き詰めることで生まれたのが、ヴィンテージ感のある風合いが味わえるブロンズシリーズです。また、器を使うシーンをわかりやすく伝えて、食事を楽しんで欲しいという思いから生まれたのがUTAGEシリーズです。これらの器で生活を豊かに彩ってほしいと思っています」
そして、藍染窯が新たなチャレンジとして誕生させたのが、hime(ハイム)シリーズです。hiking(ハイキング)とhome(ホーム)を組み合わせた名前の通り、アウトドアでも家でも使える陶製のクッキングギアとして土鍋スキレットと陶板グリルが開発されました。
「自分たちのものづくりでは、作り手自身も楽しさや面白さを感じることを大切にしています。himeの最初の試作品は、社長の自宅にある薪ストーブで調理をするための小さな陶器の土鍋です。藍染窯の社員たちも皆、キャンプやバーベキューをするのが好きなので、自分たちで実際に何度も作って試し、どんなお料理でも美味しく作れる設計に仕上げました。アウトドア用のクッキングギアは、割れにくさが重視され金属でできたものが一般的ですが、それをなぜ陶器で作るのかといえば、アウトドアでも本当に美味しいものを食べてほしい、という思いからです」
陶器ならではの蓄熱性は、炊いたご飯を時間がたってもふっくら美味しくキープでき、肉の旨みを閉じ込めながら好みの焼き加減にできるといったように、アウトドア料理の味わいをぐんとレベルアップさせてくれるのだそう。外でも安心して陶器を使えるように、割れにくい形や厚み、サイズ感などを追求しているそうですが、1度このギアを使ったら外での食事の美味しさはもちろん、使用後は洗剤でゴシゴシ洗えて錆びない、という使い勝手の良さにもハマってしまうかもしれません。
【4】伝統技術や文化の継承のために挑戦していることやこれから挑戦したいこと
波佐見焼業界でも技術者の高齢化や担い手が減少する中、藍染窯では、若い世代にも興味を持ってもらえるような仕組みづくりに取り組んでいます。
「弊社はオープンファクトリーになっていて、いつでも自由に工場見学や絵付けワークショップが体験できます。古着をリメイクしたユニフォーム姿や金髪の職人もいて、仕事を楽しみながらやっている姿を見てもらうことで、波佐見焼に携わる人が増えたらと思っています」
伝統工芸のイメージをリフレッシュするような新しい体験が、藍染窯にはあふれています。
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