今回ご紹介するのは、2つの異なる技術の融合によって生まれた作品のお話です。
博多曲物は福岡県指定の伝統工芸品、波佐見焼は経済産業大臣の指定を受けた長崎県の伝統工芸品です。
博多曲物として、国産杉に熱をかけ、曲げる技術を用いて、お弁当箱などの暮らしの道具が作られていますが、産業は徐々に衰退し、現在、残っている工房はわずか。
そんな中、博多曲物に波佐見焼の出逢いのきっかけをつくったのは奈須田友也さん。高校と大学でプロダクトデザイン学科を専攻し、卒業後はデザイナーとして家電メーカーに就職。退職後はデザインを中心にものづくりに関わる様々な業務を受託しつつ、自身で企画したプロダクトを発表しています。「意匠に関わる表層のものづくりではなく、構想段階から詳細設計に至るものづくりの上流工程の業務にも関わりたい」との想いから、日々の案件を通して設計スキルを身に着け、現在は業務の半分近くがエンジニアとしての仕事になりつつあります。
ものづくりの現場が好きで、奈須田さんは家電メーカーを退職した後、ジャンルを問わず様々な工場や工房に見学に行きます。その時に博多曲物の工房で福岡市の無形文化財保持者でもあった故・柴田徳五郎氏から曲物のつくり方を教わるきっかけを得たことで、地場産業活性化のためにプロジェクトを立ち上げます。
博多曲物の特徴である形状加工技術や熱の伝えにくさ、結露などの多少の水分を吸収してくれる特徴を活かすため、波佐見焼に着目します。波佐見焼は光にかざすと奥が透けるほど薄い磁器を量産することができ、手に取ったときの軽さや口あたりの良さに特徴がある一方で、熱を伝えやすく、熱い飲み物を飲むためのカップとしては課題があると感じていたからです。
そこで考案されたものが、博多曲物に「羽織」のデザインをあしらい、波佐見焼と重ねて使う『Haori Cup』。
プロダクトデザイナーのスキルを活かして設計された和洋、年齢や性別を問わないモダンなデザインは、現在のライフスタイルにあう美しさを持っています。化粧箱に入ったHaori Cupは特別な方への贈り物としても最適です。
Haori Cupの容量は7-8分目でおよそ180ccです。温かいお茶やコーヒーはもちろんのこと、麦茶や焼酎など様々な用途で使うことができるフリーカップです。熱々の白湯を注ぐと、熱が曲物のスリーブに伝わり、ほんのりと杉の香りを楽しむことができるとのこと。白、茶、緑、ピンクの4色展開です。飲み物をイメージして、好みの色をお選びいただけます。
博多曲物や波佐見焼の技術や背景を知ると、さらに味わい深くなりますよ。Haori Cupを手に取り、ほっとする時間をすごしてはいかがでしょうか。
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