西陣織を支える「引箔」という伝統技法をご存じですか?
引箔は古来より西陣織の中でも高級品に用いられてきた材料の一つで、織物の織柄を豪華絢爛に引き立てたり、立体感をもたせるための技法のことです。漆などで色彩した和紙に金銀箔などで模様をつけた原紙をつくり、裁断専門の切屋で糸のように細く断裁します。引箔は糸と違い表裏があり、一本ずつヘラに引っ掛け、引っ張ることにより経糸の間を通します。この動作から引箔という名が生まれたそうです。
そんな西陣織の名脇役である引箔を制作するのは、伝統工芸士の村田紘平さん。「西陣織産業を取り巻く厳しい環境の中で西陣織の引箔の技術を世界に発信しようと新しい挑戦をする父の影響で、私も新しい分野での可能性を探していました。伝統的な方法で製造される西陣織の帯は、20以上の製造工程があり、それぞれ高度な技術を有する職人の手によって完成します。技術の継承とともに、工芸の本質的な部分を伝えていくのが、我々箔屋が貢献できることだと思っています」と語ります。
箔の最大の特徴は光源や見る角度によって全く違う表情になることです。奥行きや立体感を出すために5層まで柄を重ねていく『五色金重ね』は、楽芸工房が親子三代に渡って引き継いできたうちの代表的な引箔の一つです。素材が変わりテクノロジーが進化しても、工芸の真髄である製作過程には伝承されてきた技術とともに先人たちの想いが宿り続けています。
村田さんは引箔の可能性を広げ、次の伝統となっていくための挑戦を続けています。その一つに、箸の制作があります。 箸の加飾に使われる箔には、祖父の時代に作られたものがあります。銀箔を化学反応させた箔には、経年で変化した独特の風合いと魅力があります。先代から引き継いだ貴重な箔や五色金重ねの技法などを応用して制作される箸は、食卓という日常の中に美しさをもたらしてくれます。
箸の木地にもこだわられています。桜八角箸は、奈良県吉野の桜の木の間伐材を用いて作られ、軽さがあります。八角に削られることで、角が少なくも箸先に面が残り、持ちやすさと掴みやすさが特徴です。鉄木削り箸は、重みがあり、しっかりとした持ち心地を好む方に適しています。動きのある形状に削られた箸は、角度による箔の魅力をより感じられる作品です。黒檀八角箸は、貴重な黒檀を使い、適度な重みとより上品な質感が特徴です。 日本人の食卓には欠かせない箸。お好みの箸を見つけ、引箔の魅力をのぞいてみませんか。
。
商品はこちらからご覧いただけます ↓
SERENDOUCE CRAFTSでは、日本の伝統工芸品と暮らす現代の美しさと心地よさを提案しています。Instagramからも作品をご覧いただけます。
https://www.instagram.com/serendouce_crafts_/