日常生活やアウトドアシーンでこそ本物の漆器を
福島県会津若松市で2010年に誕生した漆器ブランドのノダテは、野外でお茶を楽しむ“野点(のだて)”が名前の由来です。美術工芸品やハレの日の贅沢品というイメージが強い漆器を、野外に持ち出して楽しんでほしいという発想は、どこから生まれたのでしょうか?ブランドを展開する関美工堂の3代目である関 昌邦さんにお聞きします。
「祖父である初代は、会津塗の技術を使った世界初の漆の“表彰楯”を誕生させ、今でも国内TOPクラスの表彰の楯として使われていますが、表彰記念品だけでなく漆の技術は昭和時代に販売ピークを迎え、平成の需要低迷期以降は消滅の危機に瀕しています。3代目を継いだときに、日本の文化の礎として縄文時代から使われてきた漆文化を次世代に繋ぐため、今の日常の暮らしに求められるような漆製品を作りたい、という思いに駆られました」
漆器は実はさまざまな特性をもつ素材で、その中にはアウトドア向きの特性も多いそうです。
「まずは超軽量なこと、そして冷水にも熱水にも、強アルカリや強酸にもびくともしないこと、また雑菌を死滅させるなど、アウトドア環境に求められる特性を備えた天然素材なのです。私自身キャンプが好きで、森の中で使うなら、石油化学素材や金属より、自然素材に囲まれたいと思っていたので、漆器の特性を活かしたノダテマグが生まれました」
耐熱性や抗菌性にも優れるという漆は、アウトドアこそ、その魅力を最大限に味わえる最適シーンなのかもしれません。
伝統の技術と素材にこだわりながら、漆器の新セオリーを作る
ノダテマグは、木目を見せる“摺り漆”の技法で仕上げられ、持ち運びがしやすいように革ひもを付けた今までにない漆器の姿です。末広がりに玉縁を配したフォルムなので、上方から当たる光との視覚効果で、まるで卓上に浮いたようにデザインされています。
「ノダテマグは素材だけでなく、伝統技術に裏付けられた職人の手仕事を大切にしています。その上で、現代のニーズを取り入れることで、次世代に繋がる新しい漆器のセオリーが生じ始めています」
ノダテの漆器づくりは、会津のものづくりの現場を守りながら、人々と漆器との関係を新しく更新し、未来にその文化を残すことにつながっていきます。
自然の恵みで生まれた器だから、持って外に出よう
野外フェス会場などでも販売されることが多いというノダテですが、アウトドアでのおすすめの使い方をお聞きします。
「その名の通り、ノダテワンならぜひ外で抹茶を点てて野点(のだて)を楽しんで欲しいです。お皿類はカレーやパスタ、なんでも使えますが、ガパオライス、良いですよ。漆器だからといって和にこだわらないで欲しいです。積極的に使って洗って、を繰り返せば、ごみを出さない遊び方にもつながります」
気軽にバックパックにぶら下げて、自然の中でもカジュアルに漆器を使う、今までにないアウトドア体験をしてみませんか?
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