コレクション: 土渕善亜貴(Yoshiaki Dobuchi)【京都/京焼・清水焼】

1922年に創業した京焼・清水焼の工房陶あん(TOUAN Studio)4代目当主である土渕善亜貴(Yoshiaki Dobuchi)氏は、中国の宋時代に作られ日本に伝来した天目(Tenmoku)茶碗の制作に力を注いでいます。

中国の天目山は古くから仏教の修行地として知られています。「天目茶碗」は、黒い釉薬が特徴的な茶碗で、日本の茶道において高く評価されています。宋の時代に天目山で作られた陶器が日本に伝わり、「天目」という名前が付けられました。また天目山は茶葉の産地であり、その豊かな緑色が美しく映える黒を基調とした茶碗が特に好まれたとされています。

天目(Tenmoku)茶碗は、金属を多く含む釉薬を用いて製作されますが、熟練した職人の技をもってしてもコントロールできないわずかな変化が、作品の風合いに大きな影響を与えるのが特徴です。土渕(Dobuchi)氏は、父親の代から、長い年月をかけて天目茶碗の制作技法を研究してきましたが、それでも思い通りに仕上がりなることはありません。デザインの半分は職人の技によって生み出され、残りの半分は「偶然の力によって生まれたもの」、または「予測できない自然の影響で生まれるもの」です。同じものが二度と生まれないその希少性が、多くの人々を惹きつけています。