第六感に訴えかけるうちわづくりを目指して #団扇屋栗川商店 栗川恭平さん

伝統製法にこだわり、手作りのうちわづくりを続ける、栗川商店の5代目 栗川恭平さんにお話しを伺いました。

 

【1】工芸の道を志したきっかけやご自身の背景、工房の歴史や成り立ちについて

#団扇屋栗川商店 栗川恭平さん


熊本県山鹿市の東部、鹿本町来民は、400年以上も前から「来民渋うちわ」の産地として知られています。
この地で今も伝統製法にこだわり、和紙の表面を柿渋で塗った渋うちわを作り続けているのが、明治22年に創業した栗川商店です。その5代目を継いだのは、栗川家に婿養子として入った栗川恭平さん。最初は渋うちわをみても「特になんとも思わなかった」のだそうですが、うちわづくりの家業を継ごうとまで決断させたのは、うちわづくり職人の手作りへのこだわりだといいます。
 
「うちわづくりは、骨組みとなる竹を山に集めに行くところからはじまります。うちわの和紙に防腐や防虫、防菌効果を与えて丈夫にするために渋柿を塗りますが、それも自家製です。5センチ大ほどの豆柿を自分たちで収穫し、4~5年甕の中で熟成発酵させるので、タンニンが濃くなり効果が高まるのです。うちわを素材そのものから作っている会社にはこの先出会えないと感じ、このうちわを今後も残していきたい、と心を動かされました」
 


【2】自らの五感を刺激するために取り組んでいることや意識していること
五感を刺激するためには、まずうちわを作る工程を実際にご覧いただきお客様の心を刺激することを意識しています。第六感に訴えかけるという表現になりますかね。
実際に目でみられるのは工房のみとなりますが、SNSで発信し、職人の想いや伝統技術が伝えられるよう取り組んでいます。


 
【3】作品制作で大切にしていることやこだわり、作品を通じて伝えたいことや叶えたいこと

#団扇屋栗川商店 栗川恭平さん


うちわの語源は“打ち払う”だといわれ、古くは魔除けの道具でした。明治時代には涼を取るために使われましたが、エアコンが普及した現代では、お祭りなどでの広告媒体としての使われ方が増え、同時にプラスチックなどの安価な素材のうちわが多くつくられるようになりました。
無料で配られるうちわが増える一方で、栗川商店の渋うちわは、持ち続けるほどに魅力を増していく、その変化を楽しめるうちわとして一線を画しています。
 
「多くのうちわは、完成した時が新品の1番いい状態ですよね。ところが、うちのうちわは、年月がたつほど柿渋の酸化反応がすすみ、色合いが濃くなっていきます。和紙と竹のつき具合もだんだんと柔らかくなっていくので、さらに扇ぎやすいうちわへと変化していきます。経年劣化したほうが、いいうちわに育ち、付加価値が増えていくのです」
 
細部まですべて手作りのうちわだからこそ、時を追うごとに色合い深くしなやかなうちわへと“育てる楽しみ”が味わえるのです。
 
天然素材を使い、手作りで作るからこそ、うちわに個性があり、同じサイズでもうちわの形が若干異なるし、扇ぎ心地も変わります。それが天然素材のいいところで、その中から自分のお気に入りを探せる楽しみもあります。
見て楽しみ、うちわの軽さや風に柔らかさ、職人の手作りのぬくもりを感じていただきたいです。


 
【4】伝統技術や文化の継承のために挑戦していることやこれから挑戦したいこと
栗川さんは、お客様に、実際に「渋うちわ作りの見学・体験に行きたい」と感じていただけるように、SNSやオンラインショップなどを通じて職人の想いや技術を伝え続けています。「今後は海外のお客様に向けても発信し、気軽に渋うちわを手にしていただける環境づくりをしていきます」と語ります。この先、日本だけでなく、世界の人々にも渋うちわと暮らす楽しみが広がっていくことでしょう。

 

 

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