素材集めからはじまるうちわづくりへのこだわり
熊本県山鹿市の東部、鹿本町来民は、400年以上も前から「来民渋うちわ」の産地として知られています。
この地で今も伝統製法にこだわり、和紙の表面を柿渋で塗った渋うちわを作り続けているのが、明治22年に創業した栗川商店です。その5代目を継いだのは、栗川家に婿養子として入った栗川恭平さん。最初は渋うちわをみても特になんとも思わなかったそうですが、うちわづくりの家業を継ごうとまで決断させたのは、うちわづくり職人の手作りへのこだわりだといいます。
「うちわづくりは、骨組みとなる竹を山に集めに行くところからはじまります。うちわの和紙に防腐や防虫、防菌効果を与えて丈夫にするために渋柿を塗りますが、それも自家製です。5センチ大ほどの豆柿を自分たちで収穫し、4~5年甕の中で熟成発酵させるので、タンニンが濃くなり効果が高まるのです。うちわを素材そのものから作っている会社にはこの先出会えないと感じ、このうちわを今後も残していきたい、と心を動かされました」
時を追うごと、色合い深くしなやかに“育っていくうちわ”
うちわの語源は“打ち払う”だといわれ、古くは魔除けの道具でした。明治時代には涼を取るために使われましたが、エアコンが普及した現代では、お祭りなどでの広告媒体としての使われ方が増え、同時にプラスチックなどの安価な素材のうちわが多くつくられるようになりました。
無料で配られるうちわが増える一方で、栗川商店の渋うちわは、持ち続けるほどに魅力を増していく、その変化を楽しめるうちわとして一線を画しています。
「多くのうちわは、完成した時が新品の1番いい状態ですよね。ところが、うちのうちわは、年月がたつほど柿渋の酸化反応がすすみ、色合いが濃くなっていきます。和紙と竹のつき具合もだんだんと柔らかくなっていくので、さらに扇ぎやすいうちわへと変化していきます。経年劣化したほうが、いいうちわに育ち、付加価値が増えていくのです」
アウトドアでは扇ぐ風で贅沢な大人の時間を感じて
そんなこだわりのうちわを、アウトドアシーンではどのように使うのがおすすめなのか、栗川さんにお聞きします。
「焚火を見ながらお酒を片手に、うちわで扇いで夕涼みをしてほしいですね!アウトドアでの道具にもこだわる、大人ならではの時間を過ごしてみてください」
伝統とこだわりが詰まったうちわと過ごすアウトドアなら、より贅沢な時間に感じられるはずです。自然の中で過ごす時こそ、ハンディファンなどではなく、自分の手で扇ぐ風の心地よさを感じてみてはいかがですか?
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