美術高校時代に漆工芸と出会ったことをきっかけに、大学でも漆工芸の研究を続けます。現在は多くの人に漆の魅力が伝わればとの想いで、作家としての制作活動を行っています。
「漆工芸は表現の豊かさが魅力です。敷居が高いと思われがちですが、『変わり塗り』という遊び心のある漆の使い方もあって、堅苦しいだけではなく柔らかい表現もできる」と小泉さんは語ります。歴史を見ると、江戸時代には『変わり塗り』と呼ばれる漆を用いた技法で、刀の鞘に様々な文様を表現した使い方がされるなど、使い手の発想しだいで用途や表現の幅が広がります。
そこで、小泉さんが漆と組み合わせたものは「紙」。
大学生の時にでた課題をきっかけに、折ることで多様な造形をつくりだすことができる紙素材の可能性を感じ、主軸である漆工芸と紙を組み合わせた造形について研究を始め、現在も挑戦を続けています。紙の折り目は鋭く、造形の印象はシャープになります。一方、木地に漆を一層塗ると有機的なニュアンスが加わり親しみが湧くように、「紙の造形物がもつ鋭さ、その稜線を漆でどう包み込むのか」、漆工芸の基本的な技術を大きく変化させることなく、素地に使う紙素材の研究や実験を日々行なっています。試行錯誤の中から、生まれる小泉さんの作品からは、陶芸とは異なる造形の表現力と漆の包容力を感じることができます。
折皿やカップは重厚感のある質感からは想像できない手に持った時の軽さがあり、それも紙と漆だからこそ、織りなすことができる魅力です。また、紙そのものや陶芸では表現できない手に取ったときの柔らかな肌触りは、心地よさで溢れています。
裁断時にどうしても余白が生まれてしまう紙素材をゴミとして破棄するのではなく、その余白を使った作品や再生紙パルプに関心をもつなど、SDGsの観点からも取り組みを検討していきたいと語ります。小泉さんの今後の制作にも目が離せません。
錆びたような質感の漆塗りは、落ち着いたたたずまいで日本食との相性が抜群です。
折皿の陰影も折ることだから、得られる楽しみ。お菓子、お刺身、肴を盛りつけ、心落ち着く時間を過ごしてはいかがでしょうか。
SERENDOUCE CRAFTSでは、日本の伝統工芸品と暮らす現代の美しさと心地よさを提案しています。
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