3月からお届けしてきた沖縄のうつわ。
独自の歴史、文化、自然を持つ沖縄という土地だからこそ育まれる豊かな感性や美意識は、個性溢れる作品の源となっています。
裏を返すと、1つの1つの作品を眺めると、一人一人の作り手をもっと好きになると、沖縄の魅力を再発見することができます。
サマーシーズンの到来が待ち遠しいなか、
SERENDOUCE CRAFTSのメンバーが沖縄で出逢った7名の作り手をレビューしていきます。
#01 壹岐幸二さん
現代の生活に寄り添える器でありながら、沖縄の風土や歴史を感じられることが壹岐の作品の魅力の1つ。代表作の中の1つにある「mintama」は、16世紀以前の沖縄に「湧田焼」という窯集落で焼かれていた器を現在風にアレンジしたもので、器の内側に現れる土が露呈した部分に打った点打ちが目玉のように見えることから、沖縄の方言で目玉を意味する「mintama」と名付けられています。「染付」シリーズは美しい白地に冴え渡るような青が美しい逸品です。
#02 金城有美子さん
沖縄の情景を映し出すような豊かな色彩が金城さんの作品の魅力の1つ。色鮮やかな作品を作陶するきっかけは、学校の教師をしている友人から、陶芸の授業を受け持つように頼まれたことにさかのぼります。明るい色の方が学生たちが喜ぶだろうと、ピンクや黄色などを用意したところ、偶然に出来上がった作品がとても新鮮だったことがきっかけ。代表作のサンゴブルーの器は、鮮やかなブルーにガラス質の結晶がきらめく質感が加わったもので、唯一無二の作品です。使い手の気持ちを明るく、前向きにしてくれます。
#03 山田真萬さん
工房を構えるやちむんの里にあるギャラリーで、目を奪われた山田さんの作品。それは赤絵を含む豊かな色彩と大胆な筆づかいが、作品にエネルギーを吹き込んでいるから。インスパイアされているものは沖縄の自然にあると語ります。「自然と共に暮らす沖縄の人々には、無意識にそんな色彩感覚が染み付いていて、自ずと影響を受けているのだと思います。自分の身近なものを絶えずしっかりと見て捉えることが、やきものの基本です」。作品には、沖縄の自然がもつパワーが凝縮されています。
#04 井口工房 井口春治さん
鮮やかなコバルトブルー、創造力を膨らませて染付される絵柄、研ぎ澄まされたようなシンプル&モダンなフォルムが魅力的な井口さんの器。井口さんが、器を広げる舞台として強く意識しているのが「食卓」です。茶碗などの手に持つ器は、一般的なやちむんよりも薄く、「軽くて持ちやすい器であること」に気持ちを注いでいます。料理をつくる人を喜ばせたい、食べていて心地が良いと感じてほしいという、器の使い手への思いやりがあふれています。
#05 一翆窯 高畑伸也さん
カラフルな色使いや大胆なライン、繊細な文様には、心に響く創造性が込められています。器の使いやすさを追求することよりも、そこに心に響く創造的な要素をいかに表現できるかが、自分の仕事だといいます。料理をのせる器としてだけでなく小物をのせたっていい。自分の好きなように使って楽しんでほしいのです。アジアへ放浪経験から日常生活で触れる体験を源として生まれるデザインは、器えらびの心躍るような楽しさを教えてくれます。
#06 大城工房 大城雅史さん
泡盛を貯蔵する酒甕を制作していたものの、陶芸による自由な表現に対する想いから、陶芸家としての道を切り開いた大城さん。大城さんの作品は、鮮やかな色彩、美しい絵付けのライン、マットな生地とツヤのある絵付けのコントラストが生みだす独特の風合いなど、個性にあふれています。やちむんの伝統的な絵柄、沖縄で採ることができる”クチャ”と呼ばれる泥を釉薬として用いるなど、作品を通して沖縄愛を感じることができます。
#07 平と米の制作所=平米 平安山なほみさん・米須美紀さん
家具作りへの志を持ち続ける米須さんと彫ることに魅了された平安山さんに共通するものは"木"。お互いの頭文字を取って名付けた「平と米の制作所=平米」を立ち上げ、家具や器を制作します。2人だからこそ表現できるユーモア溢れる着眼点で生まれる作品は、親しみがあり、愛でたくなるものばかり。うつわには沖縄で生育した樹木を用いています。自然が織りなす表情豊かな木目と、樹木の香りを愉しむことができます。
SERENDOUCE CRAFTSでは、日本の伝統工芸品と暮らす現代の美しさと心地よさを提案しています。
Instagramからも作品をご覧いただけます。
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