料理と食事が楽しくなるやちむん #井口工房 井口春治さん

グラフィックデザインからの転向が、独自のやちむんを追求する原動力に

沖縄の読谷村にある井口工房の作品は、陶芸家の井口春治さんが生み出す、シンプルで研ぎ澄まされたやちむんに目を奪われます。

 

子供の頃から絵を描くのが好きだったという井口さんは、高校ではデザイン科に進学し、当初はグラフィックデザインを学ぶため、大学もデザイン科を志望していました。

受験準備中に、のちの師となる大嶺實清さんの作品に出会ったことが、進路を変えて陶芸の道に進むきっかけとなりました。

 

「沖縄といえば、壺屋焼きに代表される装飾が多く飾り物のような焼き物や絵柄が多い中で、師が作るシンプルさや色使いもありなのかと、その自由さに衝撃を受けました。そのインパクトから、大学の志望先をデザイン科から陶芸科へと変更したのです」

 

伝統を継承すべく陶芸家を目指したのではなく、グラフィックデザインの道からシフトチェンジしたという経歴に、独自のやちむんを追求したい、という思いを強く感じました。

 

絵付けのニュアンスと、整然とした形の妙を味わって

代表作の1つである「O紋」は、もとはいくつかのアルファベットをモチーフにしたシリーズでした。鮮やかに連なったコバルトブルーの環は、「O(オー)」を表していると思いきや、実は「X(エックス)」の連続なのだそう!見た目の印象から、いつしか「O紋」と呼ばれるようになり、それが定着したのだとか。

 

フリーハンドでリズミカルに描く紋様は、筆運びの勢いや色の濃淡が1つ1つ違った表情があります。すべての紋様がきっちりとそろっていないことが、手仕事の器の面白さだと井口さんは語ります。

 

 

料理と食事が楽しくなるやちむん #井口工房 井口春治さん

 

沖縄らしいコバルトブルーの色を引き立てるには、釉薬の濃度をぎりぎりまで高めます。最初は窯焼きの際に釉薬が泡立ってしまい、納得のいく仕上がりになるまでには何度も調整を重ねたそうです。

 

器の形は、使う用途に合わせて、均一に整えることに注力して製作されています。どれも異なる絵付けの味わいと、整然とそろった器の形、という駆け引きこそ、井口さんのシンプルな器の魅力だと言えます。

 

井口さんは沖縄の植物がデザインソースになることが多く、沖縄本島のやんばるの森を歩いたり、植物園を訪れたりして、新しい植物を発見することが楽しみなのだそうです。

 

「窓の外の花や植物、隣の生け垣を見ても、すべてがいつしかデザインにつながっていくのです」

 

ハイビスカスの花も、見たままを模写するのではなく、井口さんの頭の中で再構築され、新たなデザインとして生み出されることで、まるではじめて出会った花のようなインパクトを与えます。

 

 

料理と食事が楽しくなるやちむん #井口工房 井口春治さん

 

 

命をはぐくむ食事をのせてこその器。その舞台は「食卓」

井口さんが、器を広げる舞台として強く意識しているのが「食卓」です。生きるうえで欠かせない食と器は切り離せない存在だと考えます。記憶をさかのぼると、そのこだわりは、高校時代の飲食アルバイトのときから持っていたのだとか。

 

「器に料理を盛り付けながら、料理の邪魔をしないで綺麗に見えるお皿をデザインするのも良いなと、思う自分がいたのです」

 

井口さんの器づくりは「料理が映える器」であること、そして茶碗などの手に持つ器は、極力薄くして「軽くて持ちやすい器であること」に気持ちを注いでいます。そこには料理をつくる人を喜ばせたい、食べていて心地が良いと感じてほしいという、器の使い手への思いやりがあふれています。

 

ともに工房で制作をする妻の悠以さんもまた、料理を作って食べることが趣味で、沖縄に住む以前は、自分の料理を盛りつける器を求めて全国を旅したのだそうです。

 

「主役が食事で脇役がお皿でありたいと思っています。生活の基本として食事に勝るものはないので、楽しく盛りつけたり食べたりしてほしいのです(悠以さん)」

 

食事を囲む人々の「自分の料理がきれいに盛り付けられてうれしい」という明るい表情が、井口さんの器づくりの喜びにつながります。料理を作る人、器を使って食べる人の中心にあるのが似合う器。食卓にそんな器があれば、何気ない食事の時間が、より彩り鮮やかな体験になるはずです。自分の料理を盛りつけてみたい、そんな一皿をみつけてみませんか?

 

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