建築家の父の影響で、陶器・織物・染物を日常的に使っていたこともあり陶芸の道を志した金城有美子さん。沖縄の土地で作陶することの意義、沖縄とは、自分らしさとはなど、考えを巡らせては悩み、切磋琢磨する日々を過ごす中、32歳の時の個展で、「自分がシャープなイメージで作っていた作品に対して『沖縄の人らしいラインね』と言われたことで気持ちが楽に。自分には沖縄らしい感性が備わっていて、どんな土を使ってもどんな作品でも沖縄らしいんだと思えたんです」と語ります。
金城さんの個展に伺うとさまざまな作品にであうことができます。モノトーンの作品、渋い味わいの作品、光輝くような作品、植物をモチーフにした作品、色彩豊かな作品などなど。そんな作品が醸し出す沖縄の雰囲気はどこから生まれてくるのでしょうか。
1つ目に、沖縄の情景を映し出す豊かな色彩があります。色鮮やかな作品を作陶するきっかけは、学校の教師をしている友人から、陶芸の授業を受け持つように頼まれたことにさかのぼります。当時、普段使っていた渋い色の釉薬よりも、明るい色の方が学生たちが喜ぶだろうと、ピンクや黄色などを用意したところ、偶然に出来上がった作品がとても新鮮で、今のカラフルな絵付けの作品に通じています。
沖縄の情景を映し出す要素は色使いだけではありません。庭の草花や野草を、具体的なモチーフとして用いています。夜に咲いて、朝に散る幻の花と呼ばれる「サガリバナ」は特に好きな花のひとつで、沖縄の夏の風物詩として絵付けの柄にも登場しています。その他にも、ラインや厚み、サンゴが育む沖縄の美しい海を伝えたい想いが込められている「サンゴブルー」、夏の強い陽射しと影の陰影を表現した「夏影」といった名づけなど、作品にはたくさんの沖縄の感性が詰まっています。
作品制作において、インスパイアされているものをお伺いすると、「自分自身に対して抱く反骨精神、パンクスピリットでしょうか(笑)。「自分に負けたくない」という気持ちが、ものづくりのモチベーションとなっていて、脳がフル回転していく感覚があります。また、人をサプライズすること、喜ばせることが大好きで、自分自身も驚きたいという想いが、ものづくりの着火点になっています。また、落ち込み、悩み、停滞している時間も大切にしています。新しい波や風が訪れる前触れのように感じられるからです。」と語ってくれました。
サンゴブルーとプランツを組み合わせた新作制作のご相談すると、間髪入れずに返ってきた「やってみます!」のお言葉。ものづくりへの強い想いと挑戦が生みだしていく作品に、自らの感性で触れてみませんか。
金城 有美子/Yumiko KINJO
沖縄県立芸術大学で陶磁器を学び、その後国内、 アジア各国にて数々の展示やインスタレーションを行う。沖縄の自然を感じる力強く繊細な造形、強い太陽に照らされたような色彩は『金城有美子』を見事に体現しており、各方面より大きな評価を得ている。
1997年 沖縄県立芸術大学大学院陶磁器科修了
1997年〜 個展/沖縄、京都、大阪、宮崎
グループ展・国内/東京、茨城、高知/名古屋
2011年〜 グループ展・海外/釜山、ソウル、台北、台中、香港
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